第27回演奏会 2000年12月16日
指揮者 円光寺 雅彦(MASAHIKO ENKOJI)
1954年東京生まれ。桐朋学園大学指揮科卒業。指揮を斎藤秀雄、ピアノを井口愛子の各氏に師事。
1980年、ウィーン国立音楽大学に留学し、オトマール・スウィトナーに師事する。
1981年9月帰国後、東京フィルハーモニー交響楽団副指揮者に就任。
1986年より同交響楽団指揮者となり、1991年3月までその任を務める。
1989年より1999年3月まで、仙台フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者として活躍。
オーケストラの飛躍的な発展に貢献し、その実績は高く評価されている。
東京特別公演のライブをはじめ、円光寺・仙台フィルの演奏は多数CD化されており、その演奏からもオーケストラと指揮者の密接な関係を伺うことができる。
1998年5月より、札幌交響楽団正指揮者の任にあたり、新たな職務に全力で取り組んでいる。
2000年3月には、東京公演(サントリーホール)を指揮して好評を博し、札幌交響楽団と円光寺の取り組みは、高く評価されている。
他にも、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団をはじめ、日本の各オーケストラに客演し、着実に活動範囲を広げている。
海外でも、1992年、スメタナホールにて、プラハ交響楽団の定期演奏会に客演したのをはじめ、1994年には、BBCウエールズ交響楽団、1995年にはドミトリー・キタエンコからの招きにより、ノルウェーのベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団、1998年1月にはフランス・ブルターニュ管弦楽団に客演し、それぞれの地で、その深い音楽性と適確な指揮で、多くの聴衆を魅了した。
国際的指揮者として、現在最も期待されている指揮者である。
(2000年8月現在)
高崎第九唱団との共演は、1997年、1999年に続き3回目である。
ソプラノ 三縄 みどり(MIDORI MINAWA)
東京芸術大学卒業。同大学院修了。
岩津範和、木村宏子、疋田生次郎、畑中更予の諸氏に師事。
1975年芸大オペラ『ラ・ポエーム』のムゼッタでオペラデビュー。
これまでに、二期会公演『カルメン』のミカエラをはじめ『椿姫』のヴィオレッタ、『フィガロの結婚』のスザンナ、伯爵夫人、『魔笛』のパミーナ、『ドン・ジョヴァンニ』のドンナ・エルヴィラ、『袈裟と盛遠』の白菊、『トスカ』のタイトルロール、『ツァイーデ』のタイトルロール、『神々の黄昏』のヴォークリンデ、演奏会形式でも『コシ・ファン・トゥッテ』のフィオルディリージ、『ラ・ボエーム』のミミ他数多くのオペラに出演。
また上演の珍しいワーグナーの『妖精』のアーダ、『恋愛禁令』のイザベッラでも高い評価を得ている。
コンサートではN響・都響をはじめ全国の主要オーケストラと数多く共演しており、ヘンデル『メサイヤ』、ハイドン『四季』『天地創造』、モーツァルト『ハ短調ミサ』『レクイエム』『戴冠ミサ』、ベートーヴェン『交響曲第九番』『ミサ・ソレムニス』、シューベルト『Es-durミサ』、フォーレ『レクイエム』、ドヴォルザーク『レクイエム』、ブルックナー『大ミサ第三番』(ホルスト・シュタイン指揮/N響)『テ・デウム』、マーラー『交響曲第二番』『交響曲第四番』『千人の交響曲』、オルフ『カルミナ・ブラーナ』、ツェムリンスキー『抒情交響曲』等のソプラノ・ソロをつとめ、特に宗教曲を得意とする。
また現代曲にも意欲的に取り組み、ブリテン『イルミナシオン』(ハインツ・ホリガー指揮/イギリス室内管弦楽団)、シェーンベルク『月に憑かれたピエロ』、アルバン・ベルク『ルル組曲』等の歌唱で指揮者の信頼を得ている貴重な存在である。
またNHK・FMリサイタルやテレビ朝日『題名のない音楽会』にも出演。
唱歌・童謡・日本歌曲によるリサイタルを各地で開くほか、1998年CD『悲歌』(猪本隆作品集)に参加するなど、幅広い演奏活動を展開している。
二期会会員
メゾ・ソプラノ 杉野 麻美(MAMI SUGINO)
東京芸術大学音楽部声楽科卒業。同大学院オペラ科修了。
第37回全日本学生音楽コンクール東日本大会第1位。
ガリ・クルチ記念バルレッタ音楽コンクール第1位。
第1回日本声楽コンクール入選。
グローバル東敦子賞受賞。
オペラ研修所第8期修了。
1993年文化庁派遣芸術家在外研修員としてミラノに留学。
留学中よりミラノ・ロゼートゥム劇場『カヴァレリア・ルスティカーナ』のローラ、ミラノ・エレナ劇場『蝶々夫人』のスズキで舞台を踏み、ヴェルディ音楽院内のコンサートホールにて、ミサ曲のソリストをつとめて注目を集める。
これまでのオペラにおける主なレパートリーは、『フィガロの結婚』(日生劇場)、『コシ・ファン・トゥッテ』のドラベッラ、『ポッペアの戴冠』のオッターヴィア、『カルメン』のタイトルロール、『チェネレントラ』、『カプレーティ家とモンテッキ家』、『椿姫』(アクロス福岡)等。いずれも好評を博している。
1997年7月初の日韓交流オペラ二期会公演『リゴレット』でマッダレーナをつとめて二期会オペラにデビュー、華やかな容姿と美声で観客を魅了した。
同年12月東響『利口な女狐の物語』(演奏会形式)に出演。
1998年一柳慧会のオペラ『モモ』において、ニコラの妻役を演じる。
1999年新国立劇場・二期会共催公演 原嘉壽子作『罪と罰』(初演)にカテリーナ役で出演。
2000年新国立劇場・二期会共催公演「サロメ」へロディアスの小姓役を好演。
コンサートにおいても歌曲の他『第九』『メサイヤ』等宗教曲のソリストとしても活躍している。
二期会会員
テノール 川上 洋司(HIROSHI KAWAKAMI)
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。同大学院修了。
オペラ研修所修了。
渡辺高之助、栗林義信、高 丈二、L・グワリーニ、P・M・フェッラーロの諸氏に師事。
1984年から1987年までイタリア・ミラノに留学。
1985年、1986年<ヴェルディの声>国際コンクールに入選。
1986年6月トーティ・ダル・モンテ国際声楽コンクールでマリオ・デル・モナコ賞受賞。
同年10月ベッリーニ国際声楽コンクールに第3位入賞。(1位なし)
1984年フィレンツェにおいて『ラ・ボエーム』に出演。
主役ロドルフォを演じた他、1985年ミラノでコンサート形式による『ラ・ボエーム』のロドルフォを、1986年ヴィラフランカで『仮面舞踏会』のリッカルドを演ずる。
1984年から1987年までにミラノをはじめ各都市において30回のコンサートに出演する。
1987年7月ヴェルディの生地ブッセートにおいて夏のオペラ・フェスティバルに参加。
イタリアの名テノール、カルロ・ベルゴンツィの代役として、『運命の力』のドン・アルヴァーロを演じ、絶賛される。
1988年二期会公演『カルメン』でドン・ホセを、1989年『運命の力』でドン・アルヴァ-ロ、『椿姫』でアルフレードを、1990年『お蝶夫人』でピンカートンを、と立て続けに出演し、張りのある美声と端正な歌唱でいずれも高い評価を得ている。
1992年3月の二期会初の原語上演による『カルメン』でもドン・ホセで出演し好評を博した。
1995年日伯修好百年記念『夕鶴』ブラジル公演で大喝采を浴びる。
1997年2月には二期会公演『カヴァレリア・ルスティカーナ』でトゥリッドゥを演じ、さらにレパートリーを広げている。
1998年9月には新国立劇場・二期会共催公演『アラベッラ』でマッテオ役をつとめて大好評を博す。
コンサートでも活躍しており、N響をはじめ主要オーケストラと、『第九』(ベートーヴェン)、『交響曲第八(千人の交響曲)』『大地の歌』(マーラー)、『テ・デウム』(ブルックナー)、『スタバト・マーテル』(ロッシーニ)他で共演し、好評を得ている。
2000年3月新国立劇場・二期会共催公演『沈黙』に出演。
二期会会員
バリトン 多田羅 迪夫(MICHIO TATARA)
東京芸術大学卒業、同大学院修了(在学中に安宅賞受賞)。
第16回ジロー・オペラ賞受賞。
伊藤亘行、中山悌一の諸氏に師事。
1973年イタリアに留学。カンポガリアーニ、ペリッツォーニの諸氏に師事。
その後ドイツでE.グリュンマー、O.クラウスの諸氏に師事。
1975年よりハイデルベルク市立劇場にて活躍。
1977年ドイツのゲルゼンキルヒェン市立劇場と契約、数々のオペラやコンサートに出演。
M.フレーニ、R.パネライ等と共演し絶賛を博す。
帰国後、1983年二期会公演『ジークフリート』のアルベリッヒを、さらに1985年新日本フィルオペラティックコンサート『ヴォツェック』(小澤征爾指揮)のタイトルロールを見事に歌い、その精緻な音楽が好評を得る。
その他、『ラインの黄金』、『ジークフリート』のアルベリッヒ、『神々の黄昏』のハーゲン、『ペレアスとメリザンド』のゴロー、『エレクトラ』『俊寛』『天守物語』等で絶賛されている。
1990年二期会創立40年記念公演と、フィンランドのサヴォリンナ・オペラ・フェスティバル参加『お蝶夫人』でシャープレスを演じ国際的評価を得た他、『フィガロの結婚』のフィガロ、続く1991年の『リゴレット』でもタイトルロールを演じた。
また同年10月にはサヴァリッシュ指揮『魔笛』に弁者役で唯一日本人男性ソリストとして出演し高い評価を得、第一人者としての地位をより一層揺るぎないものとした。
また1992年二期会オペラ『ドン・ジョヴァンニ』のタイトルロールを演じ、同年『さまよえるオランダ人』『オィディプス王』、1994年『トスカ』のスカルピア(以上小澤征爾指揮)、『フィデリオ』のドン・ピツァロ(朝比奈隆指揮)等、いずれもドラマティックで力強い演唱を聴かせた。
1996年7月二期会オペラ『ワルキューレ』で難役ヴォータンを演じた。
1998年『魔笛』弁者役で新国立劇場に出演。
1999年サントリーホールで再度『ヴォツェック』(演奏会形式)タイトルロールをつとめ、さらに洗練され充実した歌唱と演技力を披露した。
1999年、日本オペラ協会創立40周年記念公演『修禅寺物語』(初演、委嘱新作)で夜叉王に主演、芳醇で心理の綾まで表現する万全の歌唱で観客を魅了した。
コンサートへの出演も多く、『第九』、バッハ『受難曲』『カンタータ』、ハイドンのオラトリオ、モーツァルト『ミサ曲』『レクイエム』、ブラームス『ドイツ・レクイエム』、マーラー『千人の交響曲』等をレパートリーとし、高い評価を得ている。
二期会会員
高崎第九合唱団との共演は、1995年(第22回)、1999年(第26回)以来の3回目となる。
管弦楽 群馬交響楽団 (GUNMA SYMPHONY ORCHESTRA)
1945年「高崎市民オーケストラ」を母体として、2年後に「群馬フィルハーモニーオーケストラ」と改称してプロ楽団としての第一歩をふみだした。
55年には“群響”をモデルに制作された映画『ここに泉あり』でにわかに全国的に注目を浴びる。
56年、群馬県が初の「音楽モデル県」に指定され、61年には、高崎市に群馬音楽センターが設立され、幅広い活動が展開された。
63年に財団法人群馬交響楽団と改称。
以後「関信越音楽協会」の設立で全国規模の演奏活動に拡充された。
“群響”は日本の交響楽団の中で、NHK交響楽団に次ぐ歴史を持ち、日本の交響楽運動の先駆として、地方の音楽文化の普及と振興のために地道な演奏活動を展開し、群馬県の文化の象徴としての地位を確立した。
また、レコーディングや文化庁移動芸術祭の公演を積極的に行うとともに、全国各地での演奏会など意欲的な活動を展開している。
89年には郷土文化育成に貢献があったとして、(財)財石川文化財団より山本有三記念「郷土文化賞」を受賞。
94年5月には「プラハの春国際音楽祭」、「ウィーン芸術週間」から同時に招待を受け、4カ国を巡る海外公演を実現。各地で高い評価を得た。
同年、内外に及ぶ音楽活動が評価され「日本文化デザイン賞」を受賞。
95年「第4回日本生活文化大賞特別賞」を受賞した。
群馬交響楽団
編曲者 富澤 裕(YUTAKA TOMIZAWA)
東京声専音楽学校(現、昭和音楽芸術学院)卒業。同校オペラ研究科修了。
在学中より多くのオペラ公演に参加し、音楽の現場を学ぶかたわら、作曲を故西崎喜太郎、青島広志の両氏に師事する。
作品は合唱曲、オペラ等の声楽曲が多いが、室内楽曲やオーケストラ曲も発表しており、編曲やオーケストレーションでも好評を得ている。
また日本語による教会音楽の創作に携わり口語訳聖書をテキストとする2曲のカンタータを発表。
東京・大阪をはじめ各地の教会で上演されている。
現在、神奈川フィル、ニューフィル千葉等のオーケストラで編曲を担当する他、
音楽之友社の雑誌、教育音楽に作曲と編曲を連載しており、その多くがすでにCD化されている。
昭和音楽芸術学院、及び昭和音楽大学付属音楽教室講師。
日本フィル協会合唱団指揮者。
主な作品として、アルビノーニの主題による幻想曲、オペラ「アルスメトリウム現象」、カンタータ「エマオの旅人」、混声合唱のための「倫理的一貫性に欠ける合唱曲」、女声合唱のための「練馬大根のはなし」、村野四郎氏の詩による歌曲集。
1989年以来、高崎第9合唱団のメドレー曲の編曲を行っており、団員にとっては練習の楽しみの一つになっている。